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腎の養生
腎は生命の根源
東洋医学(漢方医学)では、腎は身体の中で最も大切な臓器の一つと位置づけられ生殖や成長・発育、ホルモン分泌、免疫系、排泄などの機能を併せ持つ【生命の源】と考えられています。 腎の主な働きは、両親から受け継いだ生命を維持するエネルギー源【精】(先天の精・心身の強さ)を蓄え、体内の水分(陰液)を調節(身体の潤い・排泄)すること。
酸素を深く吸い込む納氣機能、骨や歯、脳、髪などの発育、耳や尿道、肛門の機能維持といった働きもあります。
腎は身体全体の健康と深く関わっていると考えられ、腎に蔵(かく)れる精が不足して機能が衰えると、体調不良、不妊症や精力減退、めまい、耳鳴り、関節痛、便秘、薄毛といった様々な不調や老化現象が現れるのです。腎精は、誰しも加齢によって減っていくため自分の年齢や身体の状態を把握し無理な運動、暴飲暴食、深夜の活動を避け積極的に養生することが大切です。
腎の主な働き
東洋医学(漢方医学)で考える「腎」には全身の健康に関わるさまざまな働きがあります。
生命エネルギーの源「精」を貯蔵する
「精」は、生命活動を維持するための基本物質。両親から受け継ぐ「先天の精」と、水穀(飲食物)から得る「後天の精」があり、どちらも腎に蔵れて成長や発育、生殖の源となります。 腎がしっかりして精が充実していれば、壮健ではつらつとしており、若い頃から活力不足(常に怠い・頭痛・生理痛など)、老化による不快な症状も現れにくく、日々穏やかに過ごすことができます。 反対に、腎が弱く精が不足していると、常に疲労・倦怠感がありさまざまな不調が起こりやすくなります。
水分を管理して尿を排泄する
腎は、「二陰に開竅する」「腎は胃の関門」と言われ大小便の排泄に大きくかかわっています。
また、肺・脾胃と協力し合い呼吸、消化・排泄で余分な水分を体外へ排出します。この機能が衰えると、浮腫み尿漏れ、残尿感といったトラブルが起こりやすくなります。
耳・尿道や生殖器官・肛門の機能維持
腎は「耳と二陰に穴を開く」といい、耳や尿道、生殖器官、肛門の機能と深い関わりがあります。この機能が衰えると、耳鳴り、耳閉塞感や聴力の低下、小便が出にくい、便秘などがおこりやすくなります。
酸素を体内に深く吸い込む(納気)
納気とは、酸素を深く吸い込んで体内に取り入れること。呼吸は肺が行っていますが、腎はより深く吸う機能を助けています。そのため、腎が弱くなると呼吸が浅くなったり息切れしやすくなったりすることもあり、声量があり歌が上手な方は腎のおかげかもしれません。
骨・脳・髪を育む
「歯は骨の余り、髪は血の余り」と考えられ、腎は骨や歯の生育、血を造り髪の成長などにも深い関わりがあります。また、脳は腎が主るところとされ、この機能が衰えると、目が回る、健忘症、脱毛、白髪、身体が怠くすぐ横になりたいといった症状が現れるようになります。
腎の衰えを緩やかにし、疲労・老化を防ぐ
「腎」に蓄えられた「精(生命エネルギーの源)」が不足すると、腎のさまざまな機能が低下して老化現象などの不調が現れます。そのため、東洋医学(漢方医学)では古くから腎の衰えを防ぐ治療法が考えられ先人達が切磋琢磨し研究が盛んに行われ古典文献は常に最新の考えに書き換えられてきました。
腎精は、生きるエネルギーでもあり寿命でもあります。
腎が一番元気な20代をピークに自然と減っていき、この衰えを止めることはできませんが、日頃の養生で衰え方を緩やかにすることはできます。更年期から老後をなるべく穏やかに、元気に過ごすためにも、積極的な養生を心がけてください。
また、最近は、極端な偏食や睡眠不足などの影響により、若くても腎の弱い人が少なくありません。腎の状態は身体のさまざまな不調となって現れるので、主な症状を参考にご自身でチェックすることも大切です。
腎の衰えによる主な症状
全身 |
体力・免疫力の低下、回復力の低下 疲労感 |
生殖 | 婦人科系疾患、男性の精力減退 |
頭 | 頭痛、めまい、健忘症 |
髪 | 白髪、脱毛、髪のコシ、艶が減る |
耳 | 耳鳴り、閉塞感 |
呼吸 | 呼吸が浅い |
骨 | 足腰が弱い、腰痛 |
歯 | 歯が弱い |
尿 |
尿量が多い・少ない、夜間の頻尿 尿漏れ、排尿困難 |
便 | 便秘、下痢 |